環境が人を育てる
仕事を選ぶ、探すという時に、人はどうしても「仕事内容」に目を向けたくなります。IT、広告、食品、自動車など、業界から探す人もいるでしょう。20年会社経営をしてきて、成長する人の前提条件は、働く環境にあると思っています。
もちろん、自分自身みずからを高めて成長する意欲が大事であることは言うまでもありませんが、働く環境次第で、人の成長が大きく変わるということを自分自身も体験しましたし、社内でも社外でもたくさん見てきました。
私は、1974年生まれのいわゆる団塊ジュニアと言われている世代で、1996年の春から就活を始めたのですが、ことごとく志望する会社の選考に落ちました。この時は広告や出版に関わる仕事をしたいと思っており、先述のように「仕事内容」や「業種」で選んでいました。結果、広告資材と野菜の包装資材を扱う中小企業に就職を決めました。
入社後は広告資材を扱う事業部で、バリバリと営業しようと志願していましたが、私は野菜の包装資材を扱う事業部に配属されました。野菜の包装資材を農協や生産者、包装資材の問屋に販売するという仕事になり、広告関係の仕事とはかけ離れた仕事になったわけです。正直、入社当初は「マジかよ…」と思いました。
その後、気を取り直して、与えられた環境で思い切り仕事をしてみようと、5年間がむしゃらに仕事をしました。野菜の包装資材といっても奥が深く、資材(フィルム)によって鮮度維持力が全然違います。価格の高いフィルムは汎用品の3倍や5倍しますので、価格競争ではなく、高鮮度保持という付加価値のある商品を提案営業していました。
当時、組織体制はヒエラルキー型ではあったものの、先輩や上司、事業部長からは細かい指示はなく、「自分で考えて働け」「困ったら言ってこい」という環境でした。そして、入社2年後には後輩が入社し、後輩に仕事を教え、共に成長していく経験をしました。
「先輩から仕事を学び、自ら考えて成果を出す。そして後に入社してくる後輩に仕事を教えて、共に成長する」。振り返ってみると、こうした環境が自分を成長させてくれたのだと思います。
今の当社はどうかと言いますと、このような環境に似ています。「会社の理念や考え方を理解して、社員一人ひとりが自ら考えて自律的に働き、チームの成果に貢献する」。そんな環境で仕事をしています。会社選びに、仕事内容はそれほど重要ではありません。働く環境の方がはるかに重要だと思います。
理念フィット
企業には「経営理念」があります。端的に言いますと、「会社はなんのために存在するのか?」を表現したものが経営理念になります。言い換えれば、経営理念の実現のために会社は存在します。会社を創業してから3年ぐらいは、経営理念がありませんでした。とにかく、食べていくために売上を作ることを最優先していました。これでは社員が定着せず、採用と教育にとても苦労しました。会社の目的が「売上」だと、会社が良くなっていきません。
創業してから3度、会社の成長ステージに合わせて経営理念をアップデートしてきました。現在は、Mision・Vision・Valueの3点セットで経営理念を掲げています。そして経営理念を実現するために、「人財」「商品・サービス」「お客様」についての経営方針があります。
新卒であろうと中途であろうと、会社選びで重要なのは、仕事をする環境とともに、その会社が掲げる“経営理念に理解と共感が得られるか”です。理念にフィットできなければ、「こんなはずじゃなかった…」と、会社も入社する側も不幸になります。さらに、客観的に見て、“経営理念の実現に会社が向かっているか”も確認が必要です。掲げた理念は、“言葉としてあるだけで、機能していない”。そんな会社は危険だと思います。
採用には全力を尽くす
当社は、“持続的に成長すること”を目指しています。規模の拡大が目的ではなく、より多くの人と経営理念の実現のために働き、豊かな人生でありたいと思います。そのために、採用活動はトップの大事な仕事のひとつととらえ、「採用には全力を尽くす」姿勢です。
ここ数年は、たくさんの学生にエントリーしてもらっています。中途採用においても、リファーラル(紹介)よって、入社するケースが増えています。「理念フィットして、自律的に働く」。そんな方と一緒に仕事ができることを願っています。
株式会社BeBlock
代表取締役
松村祐輔